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Greta Thunberg

レタ・ゥーンベリ 

グレタ・トゥーンベリ《スウェーデン人女性環境活動家》

 

2018年8月、政府に気候変動問題を訴えるために学校を休んでスウェーデン国会議事堂前で単独で座り込みを始めたところ、BBCやCNNなど大手を含む多くのメディアの注目を集め、一躍、時の人となる。同年11月、ストックホルムで開催されたTEDにてプレゼンテーションを行い、12月には、国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)で演説を行った。2019年1月、世界経済フォーラム(ダボス会議)に招かれ、並み居る有力者たちを前に圧巻のスピーチをした。彼女のアクションは、今、世界各地で10代の若者を中心とする気候変動問題を訴える学校ストライキ(School Strike for Climate)を引き起こし、そのムーブメントは日に日に拡大している。

    あなたたちは、自分の子どもたちを何よりも愛していると言いながら、正にその目の前で、子どもたちの未来を奪っています

人物
 

グレタ・トゥーンベリは2003年1月3日に誕生。母親はスウェーデンの著名なオペラ歌手マレーナ・エルンマン。俳優である父親のスヴァンテ・トゥーンベリの名前は、遠戚のノーベル科学賞受賞者スヴァンテ・アレニウスにちなんで名付けられた。スヴァンテ・アレニウスは、世界で初めて「化石燃料の燃焼等による二酸化炭素排出が地球温暖化を引き起こす」と提唱した科学者で、“気候変動の父親”(*The father of climate change”)(注1)とも呼ばれている。すなわち、グレタはスヴァンテ・アレニウスの子孫に当たる。

8歳の頃、グレタは「気候変動」「地球温暖化」を初めて耳にする。当初、動物種の一つである人類が地球の気候を変える可能性があることが信じられず、人為的な温暖化説には懐疑的だった。たが、それが科学的に真実であることを知り、今度は人々や社会が信じられなくなる。「私たちの最も大切な生存基盤が脅かされているのに、何故、人々は無関心で何もしないのか」と思い悩む。それが原因となり、11歳の時、うつ状態になる。後に、アスペルガー症候群 強迫神経症、選択的無言症と診断される注2。15歳の夏、グレタの大人や社会に対する不満と怒りは頂点に達し、下記の「学校ストライキ(School Strike for Climate)」を実行するに至る。

 

家族全体のカーボン・フットプリントを減らすために、グレタは彼らに自分と同様にヴィーガン(完全菜食主義者)になり、飛行機での移動を止めるよう要求した。活動家でもある母親はグレタの真摯な要求を聞き入れ、飛行機での移動が伴う海外での公演を止める決断をした。また、父親は俳優業を辞め、グレタの活動を全面的に支えている。グレタには妹が一人いる(注3)。


 

気候変動問題を訴える「気候のための学校ストライキ(School Strike for Climate)

異常な熱波と山火事がスウェーデンを襲った2018年夏(注4)の8月20日、15歳のグレタは学校を休んで、同国の2018年総選挙が開催される9月9日までの国会議事堂前での座り込みを始めた。彼女の要求は、政府が「パリ協定」の目標に沿うよう温室効果ガスの排出量を削減することだった。当初、クラスメート数人と共に行う予定だったが、彼らの親が反対したため、単独での実行となった。「独りになっても行うつもりでした」とグレタはインタビュー等で語っている。グレタの両親も初めは難色を示していた。彼女は毎日、授業時間の間、「Skolstrejk för klimatet(気候のための学校ストライキ)」とスウェーデン語で書かれたプラカードと共に座り込みを続けた。学校ストライキのアイディアは、2018年2月に米国で起きた「マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件」後に生徒たちが取った学校を休む抗議行動にヒントを得た、とDemocracy Now!のインタビューで語っている。

総選挙後も、グレタは金曜日に限り座り込み行っている。彼女の決意溢れる行為は世界的な注目を集め、世界各地の学生たちを鼓舞し、彼らを学校ストライキ(School Strike for Climate)の実施へと導いている。2018年12月の時点で、少なくとも270の都市や市において2万人以上の学生たちが学校ストライキを行っている。その国々は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、オランダ、ドイツ、フィンランド、デンマーク、スイス、英国、米国などに及ぶ。2019年に入り、その規模は欧州を中心に急速に拡大している(注5)。来たる2019年3月15日には、世界各地(3月1日現在、北米、南アメリカ、欧州、オセアニアなど)500カ所でのストライキが予定されている。

米国の著名な雑誌「タイム」は、グレタを「2018年の世界における25人の最も影響力のある10代」の一人に選出した(注6)。また、世界中の著名な科学者と宗教者が集う環境保護ネットワーク団体「United Planet Faith & Science Initiative」代表スチュアート・スコット氏は彼女を「21世紀のジャンヌ・ダルク」と称賛している。

この学校ストライキの流れに対して、英国首相テリーザ・メイは「授業時間を無駄にしている」と非難(注7)。グレタは自身のツイッター(Twitter)で皮肉交じりにこう反論した:

 

 「おっしゃる通りかもしれません。でも、あなた方政治指導者たちは何もせずに30年もの時間を無駄にしたのです。それの方が、わずかばかり、なお悪いのでは」

 

また、ツイッターの動画で、人為的な温暖化説を今現在も否定しているトランプ米大統領にも痛烈なメッセージを送っている:

   「親愛なるトランプさん。多くの人々が、あなたに、気候危機は人類史上最大の危機だと納得させようとしてきたことを私は知っています。しかし、無駄だったようです。肝に銘じておいてください。今、何もしなければ、将来、人類史上最悪の悪党の一人として見なされることを」

根も葉もない噂や数々の批判にも晒されているが、グレタは自らのFacebookで真っ向から反論している。

 「私はいかなる組織にも所属していません。時折、気候問題に取り組む環境NGOを支援し協力もしますが、私自身は全く独立しています。報酬も得ていないし、将来において受け取る約束もしていません。私がアスペルガー症候群であることをあざ笑う人間たちもいますが、アスペルガーは病気ではありません。天賦の才能です。もし私が”普通”で”社交的”だったら、組織に所属するか自ら組織を立ち上げていたでしょう。私は社交的ではないが故に、単独での学校ストライキを始めたのです

 

(*すなわち、十代の若いグレタが大多数の人間たちとは異なる性質(「独立し、群れない」「空気を読まない」「忖度しない」「(誰に対しても)言動を曖昧にしない」など)を有するが故に、世界中の若者のみならず幅広い世代に衝撃と感銘とを与え、ムーブメントは短期間にこれほどまでの規模に発展したのだ。正に、グレタのアスペルガーは”天賦の才”だ。)

さらに、正直な思いが書き綴られる。

 「『彼女は単なる子供で、子供達の話など聞くに値しない』という人もいます。だったら、簡単です。代わりに、信頼できる科学的データに基づく科学者たちの話を聞けば良い。私も常にそれらを参照しています。そうなされば、世界中で展開されている学校ストライキでの私や何十万もの学生達のスピーチを聞く必要は無くなります。結果、私たちは学校に戻れるのです」

  「私は単なるメッセンジャーにすぎません。なのに、このような憎悪の対象になっています。私は何も新しいことは言っていません。科学者たちが何十年にも渡り繰り返し語ってきたことを話しているだけです。あなた方が仰っていることには同意します。確かに、このような活動をするには私は若過ぎます。私ら子供たちがするべきことではありません。しかし、ほとんど誰も何もしていないのです。私たちの大切な未来が今正に危機に瀕しています。だからこそ、私たちは続けねばと感じているのです」

(*あるイギリス人ジャーナリストは、グレタやそれに続く「学校ストライキ」の若い学生達を評して、「もし世界を救おうと決意している者たちがいるとしたら、それは”Generation Z”だ」と語っている。「Generation Z(Z世代)」とは、1990年代半ばから2000年代前半生まれの世代。確かに、特に欧米では、新たな価値観を有する世代が、言い訳ばかりで実質的に何も変革しない旧世代を駆逐し始めている。「地球温暖化(気候変動)問題」とは、人類の精神を進化させる好機でもあるのかもしれない。)

他の諸活動

2018年11月24日、ストックホルムで開催されたTEDxStockholmにてプレゼンテーションを行った。同年12月にポーランドのカトヴィツェで開催された国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)では、4日に演説を、12日には、国連事務総長が出席した総会にてスピーチを行った。2019年1月23日、世界経済フォーラム(ダボス会議)に出席するため、スイスのダボスに到着。各国代表、多国籍企業の経営者、著名人などが1500にも及ぶプライベートジェットで来場する一方、グレタはストックホルムから列車で32時間をかけてやって来た。また、現地ではホテル等を使わず、気温マイナス18度の中、テントで寝泊まりをした。ダボス会議最終日の25日に行ったスピーチは日本を含む各国のメディアより賞賛されている。(注8)同年2月21日、欧州経済社会評議会(EESC)においてベルギーやドイツの学生と共に行ったスピーチで、グレタは「政治指導者たちは温暖化を否定し何もせずに、何十年も無駄にしてきたのです」「もはや、のんびりしている時間はありません」「私たちは全ての人々の未来のために闘っています」とストライキに対する決意を改めて語っている。

2019年3月14日、ノルウェーの国会議員3名により本年度のノーベル平和賞の候補にノミネートされたことが報じられた。議員の一人は、AFP(フランス通信社)のインタビューに推薦理由を以下のように語っている:

 

 「私たちは、グレタ・トゥーンベリさんを推薦しました。今、気候変動を止めずにただ手をこまねいていれば、将来、幾つもの戦争・紛争を引き起こし、大量の難民を生み出すことになります。トゥーンベリさんは世界的なムーブメントを起こしています。これは、平和に対するとても大きな貢献です注9

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2019年3月15日(金)、上記の「学校ストライキ」運動が世界中で一斉に実施された。ヨーロッパ、北・南米、アジア、オセアニア、アフリカ等の125の国々で2000以上の抗議運動があり、140万人以上の生徒・学生が学校を休んだ。彼らは、大人たちが温暖化対策に真剣に取り組んでこなかったことに怒りと失望を表し、最悪の気候変動を避けるために、国連の専門団が指摘する11年以内にエコ的な経済を確立することを要望した。既に、カナダなどでは、次なる大規模なストライキが企画されている。注10

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(追記:2019-4-22)

*2019年4月21日、グレタ自身が強く支持する「Extinction Rebellion(”絶滅への反抗”)」の数千人が集ったロンドンでの集会でゲストスピーカーとしてスピーチをした:

*Thousands Gather at Marble Arch to Hear Greta Thunberg - Extinction Rebellion - Apr21st: https://youtu.be/QORjAX2Ttoo

*Greta Thunberg full speech at Extinction Rebellion protest in London: https://youtu.be/hKMX8WRw3fc

*Extinction Rebellion: Climate: https://www.bbc.com/news/uk-england-london-48003955

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(追記:2019-5-23)

*2019年5月24日(金)に第2回目の世界同時の「学校ストライキ」が実施される:

 https://www.fridaysforfuture.org/   

*今月の『TIME』の表紙を飾った(May 27, 2019): ‘Now I Am Speaking to the Whole World.’ How Teen Climate Activist Greta Thunberg Got Everyone to Listen:http://time.com/collection-post/5584902/greta-thunberg-next-generation-leaders/?x

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(追記:2019-8-15)

*米国ニューヨークで開かれる「国連気候行動サミット2019」に出席するため、英国のプリマスかよりソーラーパネルを装着した炭素排出量ゼロのヨットで出航:https://www.afpbb.com/articles/-/3239900

(グレタのTwitterで航海の様子がリポートされている: https://twitter.com/GretaThunberg)

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(追記:2019-9-30)

国連の気候行動サミットの開催に合わせて計画された「気候ストライキウィーク」(9月20日〜27日)」期間の20日(金)と27日(金)の両日、世界同時気候ストライキが実施された。ドイツ国内で140万人以上、オーストラリア国内で30万人以上、グレタが参加したニューヨーク・モントリオールでは30万人以上など、全世界で760万人もの人々が参加。これは、

​2003年に実施されたイラク戦争に反対するグローバルデモの数に匹敵する、史上最多人数のデモとなった。
*7.6 million people demand action after week of climate strikes: https://350.org/press-release/6-6-million-people-demand-action-after-week-of-climate-strikes/
*Hundreds of thousands join Canada climate strikes: https://www.bbc.com/news/world-us-canada-49856860

23日に開かれた国連気候行動サミットにおけるグレタの鬼気迫る演説は、賛否を含め、世界中で大きな反響を巻き起こした。日本のマスコミ、知識人、専門家、ジャーナリスト等も遅まきながらグレタをまともに取り上げることとなり、日本人の多くが彼女の存在と「気候ストライキ」そして「気候危機」に注目し始めたようだ。

グレタ・トゥーンベリさん 「気候行動サミット」演説全文https://mainichi.jp/articles/20190925/k00/00m/030/029000c

国連 気候変動スピーチで注目のグレタ・トゥーンベリさんについて知ってほしい5つのこと:https://news.yahoo.co.jp/byline/emoriseita/20190928-00144493/
*小泉大臣“セクシー発言“よりも「日本はそもそもスピーチする資格なし」“脱・炭素“​を専門家が解説:
https://abema.tv/video/episode/89-71_s10_p521?utm_campaign=episode_share_tw&utm_medium=social&utm_source=twitter

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注釈

1. The father of climate change

2. The disarming case to act right now on climate change 

3. Democracy Now! (December 11, 2018): School Strike for Climate: Meet 15-Year-Old Activist Greta Thunberg, Who Inspired a Global  Movement

4. Data shows Sweden’s wildfire problem is unusual

5. Swedish teen Greta Thunberg skips school for climate protest

Greta Thunberg interview by CNN in Dec 2018

学校ストライキ!中高生たちが起こす反気候変動の地殻変動

why are thousands of students striking from school?

Greta Thunberg tells EU: your climate targets need doubling

6. TIME's 25 Most Influential Teens of 2018

7. Theresa May criticises pupils missing school to protest over climate change

8. I want you to panic': 16-year-old issues climate warning at Davos

16歳、ダボス会議で圧巻の演説 環境問題に力強く迫る

Greta Thunberg’s speech at Davos shows that if anyone is going to save the world, it’s Generation Z

Greta Thunberg and the Davos moment

9. Greta Thunberg nominated for Nobel Peace Prize for climate activism

10. Climate strikes held around the world – as it happened
A Global Strike for Climate Change: 1.4 Million Students Walk Out of Class Demanding Action


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